■about HATRA

 デザイナーの長見佳祐が2010年に設立したファッションブランド。ブランドコンセプトには「リミナル・ウェア」を掲げ、東京ブランドの中でいち早くファッションとテクノロジーの関係性に着目してきた。近年はホームウェアレーベル「トワイ ハトラ」やアイウェアレーベル「ハトラ オプティカル」なども手掛けている。

コンセプトは「LIMINAL WEAR」

 ハトラではデビュー時から「居心地の良い服」をキーワードに、柔らかな素材を用いて、パーカをはじめとする居心地の良い服作りを行ってきた。2021年秋冬シーズンからはブランドコンセプトを刷新し、分解人類学の領域で境界性という意味で用いられている"リミナリティ"に由来する「リミナル・ウェア(LIMINAL WEAR)」を提案している。同コンセプトはこれまで10年の活動を総括するものであり、今後の指標でもあるという。


 また、近年はホームウェアレーベル「トワイ ハトラ(TWI HATRA)」やアイウェアレーベル「ハトラ オプティカル(HATRA Optical)」を立ち上げるなど、アイテムのカテゴリーを拡充している。

フードの上部までファスナーを閉じられる(!)、「ハトラ」を代表するアイテムはスウェットパーカ


 ブランドを代表するアイテムは、吊編み裏毛のスウェットパーカ「Y Parka LP」。カジュアルウェアとして定着したパーカのイメージをリセットし、「裏毛本来のポテンシャルを引き出すことで、新たなベーシックを形作っている」のだという。吊編み裏毛の抱擁感や、芯を据えたフードのシルエット、立体的なステッチワーク、曲線による機能と仕様の一体化などが特徴。ファスナーはフードの上部まで閉じられる仕様となっている。

2022年秋冬の特徴は、季節感の希薄なグラフィックや配色

 「YOI」をテーマに発表された2022年秋冬コレクション。ここ数シーズンは「移動」からイメージを辿って制作をしており、YOIは乗り物”酔い”であり”宵”を指しているという。地に足のつかなさを肯定できるような服を目指した2022年秋冬では、鮮やかなブルーやモアレ柄といった季節感の希薄なグラフィックや配色が目を惹くコレクションとなった。

デザイナーのお気に入りアイテムは、初めて製作したホールガーメントのニットフーディ

 ハトラではこれまで多様なフーディを展開してきたが、その中でも最もミニマルなモデルという意味で"Alpha"と題しているという。丁寧に梳毛処理されたウールはカシミアのように肌当たりがよく、一体成型の着心地の良さを十二分に体感できる1着に仕上がっている。

こんな人に着て欲しい


 ブランドコンセプトとしてリミナル・ウェア(境界的な服)を掲げていることから、ブランドは「何らかの境界上に暮らす人」に着て欲しいと語る。「親指1本でなんでも表明できてしまう現代に、すべてに白黒をつけることに戸惑ってしまったり、揺れ動く人間関係の中にいることが不安になったり、誰にでもあるそうした(境界的な)状況に寄り添うための服を作っています」。

TOKIが毎シーズンのヴィジュアルを撮影



 ブランドと関係が深い人物としてデザイナーの長見が挙げたのは、6シーズンにわたってコレクションのルック制作を担当しているフォトグラファーユニットのトキ(TOKI)。トキは東京を拠点に活動する男女2人のユニットで、幻想的かつ透明感のある作風が特徴。アートやファッションシーンでもファンが多く国内から高評価を受けている。